忘れることは多いが、思い出すことはない1。一度忘れてしまえば、その記憶はなかったものにされる。全員の記憶から抜け落ちてしまった存在は、この世に生を受けていないのと同じだ。僕だけは、忘れないように、ここに昔の話を記しておこう。今日は僕の受験時の話。

僕はとある大学Aを志望していて、その事をTwitterに何度か書いていた。そして経緯は忘れたが、同じ大学を志望している人2人と繋がっていた。お察しの通り、彼らは浪人界隈の人間だった。エンカやスペースをしないようなちゃんとした浪人生とは結構繋がっていたが、彼らは受験が終わるとアカウントを削除する傾向にあった。グループは1年ごとに解体され、記憶しているのは僕くらいだろう。

ふと、共産趣味界隈を思い出した。インターネットの伝説2として未だ多くの人に語られているが、語り手が全員姿を消してしまったのが彼らについての話だ。僕だけは忘れないようにその話をしたいのだが、今まで出会った彼ら全てを語ると長くなるので、今日は同じ大学を志望していた2人の話を。

1人は「雑魚」というハンネで二浪だったかな、「今年で最後にする」と言っていた。たびたび志望大学の名前を出しており、どうやら現役と一浪のときは前期と後期どちらも受けたらしい。よくのびるネタツイを量産していて、受験の半年から一年前にはFFになっていた。

もう1人は……これを書いていて気がついたが、ほぼ忘れてしまっている。名前は「マメ浪」とかだっけ?共通テストくらいのタイミングでFFになったのであまり思い出がない。黒いマイメロアイコンだった気がする。

共通テストが終わった段階でTwitterに残っていた人が少なかったこともあり、僕ら3人は互いに志望大学について勝手なネタツイをしながら受験当日を待った。

試験で出た問題についてあれこれ休み時間にツイートすることもなく、みんな真剣に臨んだ。試験が終わってから僕はすぐ帰ったが、雑魚くんは大学の近くの公園のブランコで20時くらいまでぼーっとしてたらしい。

受験後は各々後期の話や志望大学についてツイートしていた。たとえば「#1日1回俺〇〇大受かれの舞」や「〇〇行きたい音頭」など。

結果は、全員落ちていた。全員、合否が出てすぐに受験結果をツイートした3。これもこれで微妙な雰囲気だった。誰かが、「僕ら以外の人で受かった人がいないか探してみよう」といった。なんで進んで(僕らとは違って!)幸福な他人を見にいくんだよ、と思い、僕はTLに留まりながらテキトーなツイートをしていた。戻ってきた彼は、どうやらTwitter上では不合格者ばかりだったと報告した。「Twitter使ってるからって落とすなよ!」と誰かが冗談混じりに言った。

合否が出てからすぐにマイメロアイコンのやつはアカウントの更新を辞め、しばらくしてからアカウントを消した。

雑魚くんは後期で信州大学を受けて合格したらしく、そこへ進学した。ある程度の未練はあるようで最初は志望大学の話をしていたが、やがて更新頻度も少なくなり、援交と呟いてアカウントを凍結させた4

そしてただのゲーム垢5で参加していた僕だけが、今も同じアカウントでやっている、ということだ。

  1. ここでの「忘れる」とは、永久に思い出せない状態になることを言っている 

  2. 伝説というほど時間も経っていないが、あまりいい話でもないからここには書かない。Twitterで各自調べてみてください 

  3. 国立の結果がわかる日のこの雰囲気、嫌いではない 

  4. Twitterの凍結しやすさはフォロワー数が絶対関わっていると思う。雑魚くんはネタツイが上手でフォロワーが多かったから全然凍結しなくて何度もツイートしてた。 

  5. 僕のアカウントはもともとグラブル用