見えない隧道は続いている
トンネル効果、というものがある。
どうやらある条件下で、あるものが別のものをすり抜けることがあるらしい。
これを知ったのは小学6年のときのことだった。ある日友人が教えてくれた。といっても彼も僕もインターネットなど使えない小学生だったから、上記のようなふんわりとした理解しかしていなかった[^1]。にわかには信じ難い話だったが彼のことは信頼していたので、そういうものなんだと受けいれることにした。そして、それが見たくなった。
ふと、手を机に当ててみたーーすり抜けなかった。
10年ちょっと生きてきて、その現象を目にしたことは一度も無い。起こる確率が低いのだろう、というのが僕らの結論だった。では、確率が低いなりに起こすには数を打てばいい。そうしてお互いに協力しようとなった。
つまりはこういうことだ。僕と彼はそれぞれ、学校の授業中に机をたたき続ける。たたいた回数をカウントしておき、適宜共有する。
実験は一週間ほど続いた。塾の授業中にもやっていたら、怖い先生に 「迷惑だからやめろ」 と叱られてしまった。その後は音の出ないようこっそり続けたが、また怒られたので塾ではやらないことにした。
一週間ほどしてカウントが1万を超えたころ、僕らはこう結論づけた――この現象は思っていた以上に稀有なものだったのだろう、と。それとなく、なにも起こらない実験に飽きてもいたのだが。 実験はそこで終わった。